優待クロス
皆さん優待クロスという言葉を
ご存じですか？
株主優待をゲットしたいと思う反面、
株主優待の権利確定日が
近づくにつれて株価は上がり、
権利をゲットした次の日から
株価が下がり、結局損するのでは
ないかという心配があります。
とはいうものの、どのタイミングで
買えばお得なのかも
予想がつかないですよね。
株価の上下を気にせず株主優待を
ゲットする方法が優待クロスです。
配当落ちとは
配当や優待の権利を受け取ることの
できる日(権利確定日)の15:00に
株を持っていれば配当や優待を
受けとることができます。
当然その日と次の日では同じ
株式でも配当を受ける権利の分だけ
株価は違うことになります。
理論的には配当分だけ株価は下がる
ので配当落ちと呼ばれます。
権利確定日の次の日の株価は
下がることが多いです。
クロス取引とは
クロス取引とは、ある銘柄について
同数量の買い注文と売り注文を
同時に発注して、取引を成立させる
取引のことをいいます。
その中で、現物取引で買って、
現物は売らずに信用取引で空売り
することをつなぎ売りといい、
信用取引で空売りした銘柄
(証券会社から借りて売ったもの)
を買い戻す(買って返す)のではなく、
持っている現物で返す手法
(現渡しという)もクロス取引の
一つです。
そうです、この手法を使えば
現物を買って優待をもらい、
次の日に現渡しをして取引を
終了させれば株価の上下は
関係なくなるということです。
信用売りについては前回の投稿で
詳しく解説していますので
ご覧ください。
優待クロスやり方
まず証券会社に信用取引口座を
開設します。そして30万円以上
入金(法令で決まっている)します。
現物取引の買いと信用取引の売りを
同時に同額で行うのは難しいので
権利確定日の朝9:00より前に両方
成り行きで注文します。
成り行き買い注文というのは
注文したい時間にいくらでもいいから
現在値で買う注文です。
株式市場がオープンする前に
注文すれば朝一の値段で
買うことができるので
同じ値段で現物買い注文と
信用売り注文が成立します。
その日はそのまま置いておき
次の日に持っている現物を
渡すことで空売りを終了させると、
現物も空売りも残っていないことに
なります。
実際の例
まず株主優待をネットで調べ
欲しいものを見つけます。
例えばビール優待で検索、
するとサッポロビールや
ジョイコホールディングスなど
たくさん出てきます。
3月末が権利確定日の銘柄が
多いです。
ジョイコなら500株以上で
3000円分のカタログギフトが
優待でもらえます。
ギフトの中にプレミアムモルツ
12缶の商品があります！
株価は約1000円、権利確定日の
朝9:00より前に現物で500株
成り行き注文します。
約50万円必要です。
信用取引なら30万円預けていれば
90万円まで取引できますので、
同時に信用売りで500株
成り行き注文しておきます。
すると朝一の値段で現物買いと
信用売りが成立、
そのまま次の日の朝を待ちます。
次の日成り行きで売買する
のではなく、信用取引の決済
の中に現渡しというボタンが
ありますので、それを押して終了。
現物の株を空売りで借りていた
ものの返済にあてるだけなので、
当日の株価も関係ありません。
配当ももらえる？
権利確定日に現物株を保有
しているのですから、
もちろん配当は受け取れます。
ただし信用取引の空売りでは
権利確定日に売りを保有していると
配当調整金という配当と同額の
経費が引かれます。
したがってプラマイゼロです。
(詳しくは所得税の関係でもうすこし
難しいですが割愛します。)
経費はどれぐらいかかる？
現物買いの手数料、信用売りの手数料、
空売りの貸株料がかかります。
現渡しの手数料は0円の証券会社も
多いです。
SBI証券だとアクティブプランでは
現物取引も信用取引も1日100万円
までなら手数料0円です。
(トップ画像:出典SBI証券)
貸株料は次の日に売れば1日分
なので年1％程度として例では
50万円×0.01÷365＝14円、
逆日歩(これも前回の投稿を
ご覧ください。)
はここ10年以上3月の権利確定日には
かかっていません。
これでプレミアムモルツ12缶を
約14円でゲットできる
ということになります。
優待クロスの注意点
100円程度で優待をもらえるので、
誰でも申し込みますよね。
そうなると人気の優待は空売りで
株が足りなくなります。
ということは株不足の手数料
逆日歩がかかりやすくなり要注意です。
例えばサッポロビールは
昨年12月の権利確定日に
逆日歩6.5円ついています。
100株でビール4本ゲットするのに
逆日歩だけで650円経費が
かかることになります。
取引の手数料によっては
現物のビールを買うより
高い買い物になることがあります。
逆日歩の難しいところは
空売りした次の日にしか
額がわからないということです。
怖すぎます。逆日歩がかからない
一般信用売りという手法も
あるのですが次の機会に
解説したいと思います。
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